重藤修一社長、社長夫人(初美様)、重藤淳一専務、専務夫人(敏枝様)、社長長女(一美様)にお話を伺いました。
インタビュー:加藤会長、堀口
加藤 御社の事業内容についてお聞かせください。
専務 古紙の卸問屋です。紙資源の再生事業を担う会社です。
加藤 分かり易く云うと、昔からチリ紙交換で家庭を回っ
ていた業者が持ち込む先が御社ということになりますか?
敏枝 回収業者の方だけでなく、会社や個人の方が自主的
に持ち込む紙や段ボールも受けいれています。要望があれば、こちらが回収に伺うこともあります。子供会や自治会が集めたものを回収する場面を想定してください。
専務 古紙は種類別に分別して圧縮し縦1m横1m長さ
1.5mの塊にします。この大きさで、段ボールで
900キロ、新聞だと1.1t、チラシは1.3t
になります。これを王子製紙・丸住製紙・大王製紙
などのメーカーに持ち込み、再生紙として蘇りま
す。
―創業時について聞いてみました。
加藤 創業はいつ頃ですか?
初美 私の父が、満州から引き揚げてきて、会社員をしていたのですが、脱サラしてせんべい屋を経て昭和30年11月に廃品回収業を始めました。
社長 初代はリヤカーで古鉄を回収し、この近くにあった森古鉄商さんに納めることから始め、事業を拡大してきました。
加藤 初期のころは金属を主に扱っていたのですか。
敏枝 当時の会社紹介のリーフレットがこれです。
加藤 これを拝見すると、有限会社府内金属商会となっていますね。金属専門だったのでしょうね。車の台数も多いですね。
社長 国東や豊後高田まで回収して回っていました。物の無い時代でしたから、遠くまで回収に行っても採算に合っていました。
加藤 これだけ大規模に金属回収をされていたのに、現在は金属を扱っていないようですが、どうしてなのですか?
社長 金属の回収をしていると、一緒に紙も持って行ってくれと要望され、紙も扱うようになりました。そのうち、徐々に金属が減って紙が多くなり、今では紙専門になりました。
―分別のひと手間が地球を救う
加藤 回収は紙だけですか? ごみも一緒に回収している
のですか?
敏枝 もともとは、古紙だけを回収していたが、ついでにゴミも持っていてくれとの要望が出始めました。古紙だけだと、無料ですが、ゴミの回収は有料になります。
一美 紙をゴミとして出す人は多いと思います。少し気を配れば、資源として生き返ることになります。私どもでは、紙はゴミではなく資源だと強調しています。
加藤 確かに資源として再生できれば、その分森林が残る
ことになりますね。
ゴミとして焼けばオゾン層の破壊にもつながること
にもなり、その差は天地ほど違いますね。私たちが
気を付けることがありますか?
敏枝 紙とゴミを別々の袋に入れて欲しいです。
同じ袋の中に、コーヒーの汚れや匂いがつくものが入っていると、全てゴミとして処分なければなりません。紙に匂いや汚れが付くと、メーカーは再生対象にしません。出来上がった製品に汚れや匂いが残るのだそうです。
大変残念です。袋に入れるときに分別するひと手間が地球を救うと思っています。
加藤 ゴミと資源の差は、まさに紙一重ということです
ね。私たちがちょっと心配りしただけで結果が変わ
ってくるわけですか。
―ISO14001
加藤 匂いや音が出る業務ですが、地域社会に対する気配
りのようなものがありますか?
敏枝 ISO14001(環境マネージメントシステム)を取得して環境に配慮した取り組みを行っています。
ゴミが周りに飛散しないように気をつけるのは当然ですが、こまめに会社周辺の清掃をするようにしています。
搬入のパッカー車の音も大きいので、19時以降にはならないようにしています。機械を動かすのも時間を気にしながら、迷惑が掛からないよう気をつけています。
※写真 左 社長(重藤修一様)
右 社長夫人(重藤初美様)
加藤 御社は66年の歴史がありますが、生残ってきた強
みは何ですか?
社長 立地条件が良い事は強みだと思います。
会社関係や一般の人からは市内中心部に近いし、車の出入りも楽だと言われます。
高速道路の入り口に近いので、配達した車がついでに我社に持ち込む方は多いです。
加藤 確かに、幹線道路に面していない分車の寄り付き
は良いでしょう。
初美 それに同業者がこの地域に無いので、福宗の清掃センターで「紙の持ち込みで近い業者は?」と尋ねると、我社を紹介してもらえる利点があります。
敏枝 古紙を圧縮するときに、丁寧にやっているので、「お宅の荷が一番しっかり梱包されており、荷崩れしない。」と運送業者から喜ばれています。
加藤 コロナの影響はありますか?
専務 子供会の回収がなくなりました。
お店が休むので、企業の段ボールが少なくなりまし
た。しかし、反対に、個人はインターネットの注文
が増えて、段ボールの持ち込みが増えました。
加藤 集めるゴミで感染の危険性を感じることはないです
か?
敏枝 同業者の間では、「我々は皆、既に抗体を持っているのではないか。」と話題に上がるほど危険を感じています。マスクなども混じっていますから。
加藤 対策は?
敏枝 会社で出来ることとして、ハンドソープを備えて手洗いの徹底をしました。休憩室の空間除菌や机の除菌をしていましたが、今は空間を除菌する機器を備えつけました。
社員には、出社時に「体調チェック表」を記入してもらい、感染予防を徹底する意識付けをしています。また、休日における感染拡大地域への旅行自粛をお願いし、やむをえない場合は感染要望措置を徹底する文章を配布しています。
加藤 事業承継についてお考えですか?
社長 先代は、死ぬまで社長でした。ただ、先代が72歳でしたので、私も72歳になるので、そろそろと思って担当の堀口さんとも何時にしようかと相談しています。
加藤 社長が元気なうちに承継した方が良いとおもいますが、そろそろ楽隠居させてあげてはいかがですか?
敏枝 楽隠居して、ボケたら困る。(笑)
―これからの展望について聞いてみました
加藤 どういう企業にしたいですか?
敏枝 子供が戻ってきたいと思う活気のある企業にしたい。
社長 先代が作ってきたものを守ってきたが、今からは守りだけでは生き残っていけないとは思います。
専務 ペーパーレスの社会になろうとしているので、そのことを前提で事業を考えていかなければならない。
加藤 何か対策はお考えですか?
専務 ペーパーレスの時代が来ていますが、過去の書類を処分する必要が生じてきます。実際にみかん箱10箱とか持ち込む方もいます。今からは、需要が増えると見込まれるので、大型のシュレッダーを導入しました。
企業の機密書類は我社で大型のシュレッダーにかけて裁断します。ただ、道中での機密漏洩の安全性を考えると、今は企業に持ち込んでもらっています。
加藤 今と違う業態もお考えでしょうか?
専務 発泡スチロールのペレット化(インゴット)が出来る企業を目指したいと思っています。
―プロスパーと経営会議
加藤 今は私を交えた月一の経営会議を行っていますが、どうですか?
社長 有難いです。今までは、一日をなんとなく過ごしていたのが、経営会議をすることで、経営を考えるようになりました。
正直に言って、今までは数字の意味がよくわかりませんでした。
経費を削っていくことだけ意識していました。
加藤 目標を立てて、それを達成するにはどうすればよいか?どうアプローチしていくかを考えるのが経営です。アプローチした結果が数字として出てきます。
社長 試算表をそのように考える習慣がありませんでした。
お陰で経営について考えるようになりました。
敏枝 経営は社長や専務の仕事だと思っていましたが、
今は全員で話し合うようになりました。
加藤 ずいぶん具体的に動き始めた気がしますが。
敏枝 整理整頓の一環として溜まっていた金属類の整理ができました。
広報活動としては、自社の車輛に張り付ける広告や社名入りのティッシュペーパーの作成、ポスティングをしました。お陰で、新規の方が古紙を持ち込むようになっています。
一美 人見知りで営業はできないと思っていましたが、会議で決まったので、思い切って飛び込み営業を始めました。
初対面の人から、「紙や段ボールの処分に困っていた。取りに来てくれると有難い」と言われ、取引が始まりました。自分にも営業ができたと、嬉しくなります。
敏枝 経営会議で、プレッシャーをかけられるので、嫌だなと思うこともありました。
でも、他の人が新規のお客様を獲得すると少し悔しくて、自分も頑張らねばと会社周りを訪問しています。
専務 何よりも会議で出た対策が行動となり、成果につながっていくことは嬉しいことです。
加藤 皆さんの熱気を感じます。今日は時間をとっていただきありがとうございました。
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